ウインドサーフィン私の趣味の一つにウインドサーフィンがあります。一年中、海に入るこのスポーツのハイシーズンは、夏ではなく冬場の風の強い曇った日なのです。あまり知られることのないこのスポーツが、唐津の浜玉海水浴場(fig.1)を日本有数のゲレンデとしていることは、佐賀県人のみなさんも知っておくと何かの役に立つかもしれません。では、ウインドサーフィンとは何か?と言われればサーフィンとヨットの合の子みたいなもので、プレーニングと呼ばれる海面滑走状態(時速50キロ前後fig.2)を最高の喜びとし、それが中毒症状となり、仕事中も天気図が気になるという禁断症状が認められます。歯科との関係は何か?と言われれば、風は呼吸、波は口腔周囲筋(舌なども)そしてボードが歯として存在するという構図が似ていると思われます。何を言っているのか?とお思いの方が大多数だと思われますが、これは矯正治療やフルデンチャーなどに応用されているバクシメーターメカニズム(舌と頬粘膜、口唇の中立地帯に歯は並ぶ)のことによく似ています。つまり歯並びは、筋肉の日々の動きに左右されると言う事です。私は、矯正専門ですのでワイヤーを使い歯をコントロールします。それ以外の矯正治療で、悪習癖(低位舌や咬唇癖)の改善、いわゆる筋肉の動きと呼吸の仕方を矯正する事が最も難しいとされています。鼻から息をして口では息をしないというごく簡単な事が、近年のアレルギー性鼻炎の急増で、口呼吸を誘発し低位舌の状態の患者さんがほとんどです。低位舌であると正常な嚥下が難しく耳管の開放にも影響を及ぼします。その他にも低位舌であることは、口腔内を乾燥させるだけでなく舌という吊っ替え棒が上顎からなくなることで、上顎骨の狭窄(劣成長)を引き起こます。その後満足に成長できなかった上顎骨に萌出してくる歯は叢生となります。下顎においては上顎歯列に合わせて叢生の状態を保ちながら何とか咬合しようとします。咬合干渉することで下顎骨の変位を引き起こす場合もあると考えられます。よって呼吸を征する事が咬合を征する事につながるのです。つまり歯(ボード)を動かす時、効率良く短期間にそして後戻りの少ない治療、それはまるで風(鼻呼吸)と波(悪習癖)を読みボード(歯)を自分の思う通りに動かす事と似ているからです。なので、日々暇さえあればウインドサーフィン(矯正治療)の練習は欠かさないようにしています。